はのはのブログ 懐かしき日々

Yahoo!ブログでの2006年6月から2019年6月までの記憶

中山可穂の「ケッヘル」上・下 を読みました♪

まず最初に知ったのが・・・
世の中には、モーツァルトを深く愛してやまないモーツァルティアンという人種がいる ということ。
モーツァルトのすべての作品には時系列にそってケッヘルという番号がついている。
そして、モーツァルティアンはその番号ですべての作品を覚えていて、
すぐその曲調などが言えるらしいということ。
また、その番号に非常に思い入れをもって生活をしているということ。
(車のナンバープレートだとか、移動の電車や飛行機の便数だとか)
・・・こういったことがベースにあっての話しでした。
 
そして読み始めは、主人公が男性か女性か しばらくわからなかった。
読解力不足かとまた戻ったりして(笑)
 
まず主人公の木村伽椰が、ドーバー海峡に向かって指揮棒を振る男 通松健人とであうところから。
 
そして木村伽椰のそれまでの話しが・・・・
有名代議士の秘書であった夫と、その代議士の妻と自分との関係。
夫との別れ、壮絶な恋愛の末の逃亡生活。
それはそれで、とても重く わたしはそれだけでひとつの話しになるとおもったほど。
まだまだこの話しをスケールがわかってなかったみたい。
 
それから、その通松健人との出会いから特殊な仕事をすることになる。
その日本でのベースは鎌倉。
お客様はモーツァルティアンであるというのが条件とされている旅行社。
お客様の要望に応えるべくガイドであり、秘書であるかのように一緒に旅のサポートをするのだ。
誰にも頼めないような要望にも応え、
その先の口にはだせないことまで読み取って満足していただこうというのがポリシー。
できないとおもいつつも、手伝いを始める伽椰。
最初のお客様を迎えいれたところで、第一章が終わる。
 
それから、通松健人の生い立ち・・・・
ストイックなモーツァルティアンでありドン・ジョバンニのように女癖の悪い、才能ある指揮者に魅入られ
恋に落ちる母。
妊娠を機に突然身を隠し、
ひとり旅行先のパリ近郊のシャルトルという街のノートルダム大聖堂にいるときに産気づいてしまう。
複雑な環境ゆえにその場に居合わせた助産婦の日本人女性と鎌倉の別荘に戻る。
そして、ふたりが外界から隔離するかのようにただひたすらに愛情と教育をそそぎこみ
純粋培養のように育てた少年が彼だった。
 
そして、 伽椰の最初のお客様が旅先で死んでしまう・・・自殺といわれてもなぜか納得できない。
後始末をする先輩社員と入れ換わりで日本に戻る伽椰。
旅先でみかけた日本人ピアニストが心に残り、彼女の情報を集めようとしても何もつかめかった。
それからすぐ二人目のお客様が。
今度はツアー旅行をよそおい、その依頼人の失踪の手伝いをするという要望。
その不可解な要望に疑念を持ちつつツアーを始めたところ、お客様が失踪してしまう。
予定通りのことなのか、それとも・・・。
神秘のピアニストとの出逢いに恍惚となっているところで、二人目のお客様の無残な死に遭遇する。
 
それから、母を亡くしたあとの、通松健人の生活がすごかった。
金持ちの親戚にひきとられていたところ、落ちぶれたモーツァルティアンの父に誘拐されてしまう。
ケッヘル番号にあう電車を乗り継いで、昔の女に親子でお世話になる日々。
息子に自分のできる限りのことを教え、ピアノをモーツァルトを理解させたいという執念の父親。
反抗しつつも父の愛をだんだんと理解し、父を支えるように生きて行く。
ただ、それも まだ話しのベースで部分で・・・。
話しは、複雑にそしてスケールもどんどん大きくなっていく・・・。
 
 
 
 
 
私は、出てくるケッヘル番号をユーチューブで検索して その曲を聞きながら読み進めてました。
それらの中には、聞いたことある曲も たぶん自分が弾いたことがある曲まであって
その中の曲が通松健人が愛した美津子への思いのときの作品だったりして嬉しかったぁ (*^_^*)
 
上巻を読み終わって、娘にパソコンを占領されていたときには
DVDで「アマデウス」を観て、モーツァルトやその時代、その世界を確認したりして・・・
でも観た後になって、これは 逆にイメージがかわってしまったので本を読み終えたあとでも
よかったかも・・・と感じたのでした。
 
この本は、
オーケストラについての内容もあるので「のだめカンタービレ」をおもいだしたり(千秋という
名前の登場人物もいる・笑)、
イギリス人留学生を殺した犯人が無人島に逃亡したこともおもいださせるところもありました。
また長崎のキリシタンばかりの離島の話しや、フリーメーソンまででてきたら
ダヴィンチ・コードを彷彿させたりして、ずいぶんと 「てんこもり」にも感じました・・・。
映画化は難しいでしょうから、ビデオシリーズ化はいいかも。
映像にすると嘘っぽくなるかしら。
 
 
わたしとしては、心を寄せるピアニストに 相手が読んでいるかどうかわからないなか
ずっと無償の愛をメールで表現して 待ち続けるところはせつなかった。
あの内容は 共感できるものでした。
 
 
中山可穂さんの作品ははじめてでしたけど、
他にも気になる作品があったので、ちょっと時間をおいて 読んでみようかなとおもいます。
今回は没頭しずぎてしまったので(笑)