三浦しをん「風が強く吹いている」を読みました♪
高校時代の陸上部で挫折した才能ある若者と、全くの素人とで箱根駅伝の頂点をめざすというもの。
3年前の箱根駅伝はテレビで集中して楽しめたのでトライしてみようとおもったのでした。
親の期待に背き陸上部で活動することなどあきらめざるを得なくなって
静かに目立たないように 最低限の生活費だけで大学に入学。
ただひたすら走りたいという衝動にかられ、
好きに走っていた主人公の走(かける)。
入学前にお金も使い果たしてしまい走る途中で万引きをして
逃げるときもそれが「走ること」のついでのように 颯爽と走っていた。
その姿が同じ大学4年のハイジを魅了したことからはじまった。
お金もなく学校の敷地内で野宿をしていた走を
おんぼろ学生寮に入るよう手続きをしてくれたのは
そこの住人である素人たちと一緒に
箱根駅伝に挑むための準備がととのったと一緒だった。
ここの住人は陸上の経験はほとんどないし、貧乏ながら 好きに怠惰な生活をしていたといってもいいだろう。
この寮の世話人でもあり上級生でもあるハイジは 自分も高校で故障するまで陸上長距離選手だった。
ハイジはそれぞれの個性を熟知、また それぞれの生活をサポートし弱みをにぎることで 有無も言わさず
この無謀な かねてからの自分の非願をかなえることに参加させるという偉業を成し遂げることができた。
走(かける)は その最後のひとりであり 大きな希望の存在だったということだとおもう。
ここのあたりまでは、なかなか 読みがすすまなかった(^_^;)
怠惰な大学生活をおんぼろ男子寮で過ごす面々というのが 苦手だったのかな(笑)
電車で一緒になった同僚が 走るトレーニングに入ったら すぐにおもしろくなるっていってくれて・・・
本当にそのとおりになってしまった!
それぞれが 少しずつ走れるようになるにつれ、
(素人でも走れるように考えられたハイジの練習メニューは凄かった!)
わたしの心もどんどん走れるように わくわくページが進んでいって。
長距離走ってわたしにとって一番苦手な競技。
みんな自分に厳しく自分をみつめて 自分のすべてを把握しながら記録に挑む。
それに失敗すると、自分ができの悪い甘ったれというのがはっきりわかる。
わたしはそれに立ち直れないとおもう。
速く走れることが一番というような厳しい部活の
スポ根と管理的な練習で頑張り続けていると失っていく「走る喜び」は
「強く走る」「自分と向き合って自分が求めるものに向かって走る努力をする」
ということで得られるものだとハイジや藤岡はわかっていた。
体ではわかりつつも 心での認識ができずイライラしていた走(かける)は、
ハイジやこの寮の仲間たちとの出逢いによって
新たな走りの魅力をこころに、より強くしなやかに走りつづけるだろうとおもう。
そして初めての陸上で この心地よい達成感を体感できた竹青荘の面々は幸せだった。
このまま 次の箱根駅伝を狙うとか 競技からは離れても「走る」という魅力にはまったり
その心持ちはこれからの人生の支えになるのだろうな。
もともと そういう素質があったとハイジがいいところをみつけ伸ばしてくれたというのもあるのだろうけれど。
いいなぁ~、爽やかな達成感♪
頑張らない人には 手に入らないことだろう・・・と 自分はあきらめてしまう(^_^;)
小説だから ここまでいけたということもあるだろうけれど 走ることへの追求は 同感だろうとおもう。
次の箱根駅伝をみるのが楽しみになりました(*^_^*)