はのはのブログ 懐かしき日々

Yahoo!ブログでの2006年6月から2019年6月までの記憶

角田光代著「空中庭園」を読みました。

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郊外の団地で暮らす家族。
夫婦と高校生の娘、中学生の息子。
母親は「我が家のモットーは何事も包み隠さず話す」にしている。
でもその家族それぞれが 秘密がありそれを隠して「家族」をしている。

高校生の娘がどこでどういうふうに授かったかなども赤裸々に。
その内容にロマンチックなことはなく 不満におもいつつも
娘は自分のはじまりであるそのラブホテルにボーイフレンドを誘っていってみる。
娘目線でみる日々の生活、家族の様子、考えること。

夫は浮気をしている。
初めてのふとしたきっかけの浮気を妻に知られ、それから妻には夫婦の生活を拒否されたまま。
今では日常を楽しく過ごすだけで心の交流は感じられない。
そのときからの長年のつきあいの浮気相手はずっと独身のままである。
それとは別に若い浮気相手もあり、古くからの付き合いの彼女と泥沼になってしまった。

妻は・・・
年老いた妻の母は少し離れたところにひとり寂しく住んでいる。
妻は子供の頃の境遇にコンプレックスを抱えており、年老いた母親にも不満を抱えたまま優しくできない。
やっと逃げ出して自分で作った「家族の生活」を大事にしたいとおもっている。
「何もかも包み隠さず話す家庭」を守るため ひたすら自分だけ秘密を抱えているとおもっている。
みんなはすべてをわたしに話すことで楽になっているんだとおもっている。

近所に住む祖母。
それまでの生活のために、娘(妻)や息子(妻の兄)に辛い思いをさせたとおもっている。
娘は結婚してから 楽しそうに暮らしているとおもっている。
年老いてひとり暮らすことへの寂しさをどうにかしたいとおもいつつも
昔の記憶をたどりながら 少し距離があっても娘や孫との関わりを楽しみにしている。

夫の若い恋人(愛人)の目線で。
自分の生活、いい歳して何も考えていないようなめちゃくちゃな恋人(夫)のこと、
それに気づかないで陽気に暮らすその妻についておもうこと。
家庭教師として家に入り込んでみて関わった恋人(夫)の息子のこと。

そして変だとおもいつつ家庭教師を依頼した中学生の息子。
先生は父親(夫)となにかあるとは感じている。
学校でも交友関係でも秘密がある。

みんな誰にも言わない秘密を抱え、そのままやっていくのだろう・・・。
どこの家庭もこんなに家族それぞれドロドロなのか?
それでも「家族」を続けていくのはなぜ?
自分には秘密があってもおいといて、
他の家族に秘密があるのは暴きたくなる。

夫婦だけではなく 子ども達も?
ふーっ とため息☆