はのはのブログ 懐かしき日々

Yahoo!ブログでの2006年6月から2019年6月までの記憶

私小説って大変・・・

 
瀬戸内寂聴さんの自伝小説・・・「いずこより」を読みました。
 
先日読んだ「花芯」は確かにこういう人生を歩んできたことから生み出されたものだったのかと
納得しました。
 
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はじまりは 夫の手に幼い娘を残し初めての恋愛の相手となった夫の教え子のもとに向かうところから。
夫とは大学在学時に外務省の留学生だった夫と見合い結婚し北京に渡り新婚生活を終戦
日本への引き揚げなど大変な時期を過ごす。
 
イメージ 1慣れぬ土地で初々しい生活に頑張る新妻の姿や
心情がよくわかりました。
どんどん大変になる生活の中で一緒に頑張ることで
精いっぱいだったけれど
帰国してから二人だけの価値観だけでは生活できなくなり
戦後の環境変化で夫の本質がみえ苦しむ。
そこで妻として耐える作者とともに時間を過ごしささえた
夫の教え子との心の高まり。
それが初めての恋愛の自覚であり、不倫となったこと。
この時代だから、地域の目のある郷里でのことだから
作者が純粋で不器用だから・・・そうなってしまっただけ。
わたしでもそうなりそうだと想像してしまいました。
 
気持ちだけで盛り上がって駆け落ちというより
まずはフリーになるための家出のような生活。
そこにいくまでに 娘を捨てる葛藤とか 夫に殴られるとか
実家の家族を苦しめたりがあったのに。
ふたり身体をともにした途端、その情熱が冷める・・・
それについて 恋愛が成就するまでの過程を楽しむみだらな女とみられるのだろうけれど
それは(夫の教え子である青年とのこと)、 心が苦しく納得できない夫との生活から逃げるための
単なるきっかけではなかったのかな とわたしは想像しました。
 
そのあとの 妻子ある男性と8年の幸せな時を過ごしながら 作家としての自分を築く。
この時は 女性として一番花開きつつ、でも 不倫のうしろめたさも感じている・・・
この頃の作者は 女性として可愛かったし格好よかったとおもいます。 
開き直っているわけじゃないし、妻の女性に遠慮しつつ男性を支えている。
それを手離してまで 最初の恋愛相手だった年下の青年(夫も教え子)との生活を選んでしまったのも
ひととしてまともだからこそ、自分との別れの後 未だに男として自信を失っている姿を
ほっておけなかったから・・・辛いめぐり合わせだとおもいました。
 
成功した年上の女性として 情けない優男につくし お金を使い イライラして過ごす・・・
その腐れ縁のなかのドロドロでよろこび、疲れ、放心状態になる。
まさに成功した独身中年女性にありそうな。
 
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40代半ばほどまでのことのようでしたが、ちょうど同じような歳の自分からすれば
確かに波乱万丈の生活を送られたのだとおもいました。
 
時代背景もあって今それをするよりずっと大変だったろう経済状態や世間の目。
でも 今の時代のひとから 批判を受けるような生き方ではないようにおもいます。
子供を置いて出るしかできなかったことが 一番の批判なら仕方ないけれど。
でもご主人は、妻をきちんと顧みることもないし それに殴るなんて・・・(これ、わたしなら絶対ダメ)
 
 
恋愛中の心の葛藤、耐えて嫉妬に苦しんで激怒して そのときの状況や自分の心理をかくことによって
別れに至った言い訳を小説にあらわしていたようだ とか
つい 苦しい状況にいても これを小説にするとこういう感じになる と考えてしまうとか
小説家としてのイヤな部分のように自身をあらわしていました。
深刻に苦しみながら作品として生み出しているからか 小説として作品を出したら
長いあいだ読み返すこともないということでした。
小説には批判のほうが大きく反響として聞こえたりでそれも苦しいところなのでしょう。
 
ついブログに夫とのことを 自分目線で書いてしまうわたしとしては 
作者が身をけずって書く恋愛小説は、それだけ苦しいのだろうな・・・と想像しました。
ブログはもちろん事実より抑え目に書いてるので身は削れません(笑)
自分目線バンバンだし。 (だって私のブログだもの・笑)、
それに対するコメントは みな優しいコメントです・・・(でも、まず承認制にしている・笑)
あるいは こういう考え方もあるのだよ とか 私が想像できない夫の気持ちをフォローしてくれたり。
だから 読み返すことも多いし。
 
ブログにかけるぐらいの辛すぎる毎日ではないってことでもあるのでしょうけれど(~_~;)
 
 
これからまだ 恋愛を繰り返すことからなのか 年下の内縁の夫(夫の教え子)との別れの感情からか
いろいろあって 出家されたのでしょうね。
寂聴さんの愛の遍歴より 小説家として作品を生み出す苦しさのほうにひきこまれました。 
結婚生活のほうは逆に読むのが辛かったなぁ。