はのはのブログ 懐かしき日々

Yahoo!ブログでの2006年6月から2019年6月までの記憶

井上 荒野 の 「誰よりも美しい妻」を読んで・・・考える

できるなら「美しい妻」でありたい。 「誰よりも美しい妻」とは・・・
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  高名なヴァイオリニストと美しい妻の園子。
  二人の間には12歳の初恋に目覚めた息子がいる。
  妻を美しいとおもい、臆面もなくその美しさを口にしながら   も、夫は若い女との恋愛をやめられないでいる。
  妻は 夫の日々の様子ですぐ浮気に気づく。
  気づいていても、知らないふりをする。
  夫の心情をおもい 夫がいいように行動し対応する。
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  夫にとっては でしゃばらず 自分の我儘もまるで母親のよ  うに静かにかわす・・・常に自分好みの、時には みとれて   しまうぐらい美しい妻。
  自分を裏切ったり不快な気分にさせる行動などしない妻。
  そんなことはわかっていて、わざとやきもちを妬くふりをす   る。(妻は すぐにそれを察してやめる。もともと 夫に指    示された行動であっても) ・・・そんなの 許せないよ。
 
  園子は 夫が好むように行動し、夫好みの美しい妻であろうとする。 できれば、そうしたいと思う。
 
  夫が 自分の教え子や仕事関係者に みせびらかすかのように妻に接客させるとき・・・
  いわれるがままに 着物をきたり、突然の食事のしたくも 夫が満足するようにこなす。
  まるで息子みたいだと思う・・・夫も同じなのかな。
 
  そのとき つきあっている女性を連れてくるときも、普通に対応する。
  (夫とつきあいだした女性は とたんに 園子のまえでことさら無邪気にふるまったり、奇妙にべたべたした    態度をとる。) ふ~ん。おもしろくないけど、「わたしと夫」との問題だから普通にならできるかも。
             女性として魅力があるのか、夫好みなのかは知りたい気はする。
 
  夫からごく大切にされていることを、園子はよく知っている。
  夫は妻とのふたりだけの時間もたっぷりとって、手間をかけて愛してくれる。それでも、浮気するのね。
  
  男はセックスが終わると冷淡になるとよく聞くが、この夫も例外ではなくて それを隠そうとしない。
  でもそんな風に振る舞われることが、園子はいやではない。 
  つきあっている女性の前では夫はへたくそでばれるような演技でごまかそうとするのだろう・・・と考える。
  すると、何か 微かな優越感を覚えさえもするのだ。 理解できない。反対の行動ならまだしも・・・。
  
  時には夫に捨てられた女性のことを、心配したり・・・相談までされたり。妻にはそんなに余裕があるように
                                                思うのかしら。
  夫とぎくしゃくした女性とそのボーイフレンドと4人で過ごしたり。 ありえない・・・。
 
  彼女との心のかけひきで弱りきって熱までだす夫をやさしく介護したりする。それはそれで可哀想に思う。
  結婚してまもなく夫の浮気に気づいて「あなたとは別れる」と園子がいったときも夫は熱をだして倒れた。
  唇をかさかさに干上がらせて、園子、園子とうわごとみたいに言い続けるから ベッドのそばから
  離れられなくなり、そうして結局、夫からも離れられなくなってしまった。 いつまでもそれにつきあえない。
                                                
  夫に捨てられた女性に言われたことば。「どうして園子さんは、そんなふうにいられるんですか?」        それは質問というか叱責みたいに聞こえた。だから園子は、悪いことをした子供みたいに俯いて、黙ってい   た。妻が夫の共犯者であるかのように・・・。
  
  本当の答えはちゃんと胸の中にあった。いつもそこにある。どうしてこんなふうにいられるのか。
  それは、夫は自分のものだと決まっているからだ。心も他の女性に向いてしまう夫をどうしてそう思えるの                                    だろうか。自分との生活に戻ってくるから?
  何かを信じ続けるのは難しい。だから一度信じると決めたら、信じ続けなければならないからだ。
  夫は私のものだと。 所有感だけなのか・・・心の真髄でつながっているというのか。
 
  作者のあとがき より・・・
  誰よりの美しい妻は誰でもなれる。というより、なってしまう危険性がある。
  そのことは間違いなく、この世の不幸であり、同時に幸福であると思います。
  こんなふうに 美しい妻でいるということは、夫を誤解させてしまい ますます 複雑な夫婦関係に
  してしまう、自分でそういうふうに 追いこんでしまう気がする。
  
  誰よりも美しい妻は 夫からみて都合のいい妻・・・ということのようだ。
 
  うちの夫もあからさまな浮気はないけれど こういう「美しい妻」をもとめていると感じた。
  無理よ・・・ちょこっと努力したつもりだけど。