はのはのブログ 懐かしき日々

Yahoo!ブログでの2006年6月から2019年6月までの記憶

湊かなえ「母性」を読みました。


昨日の午前中は なかなか本に集中できなかったけれど
午後からは 違いました。
本を読むのにいい場所に落ち着いたからだとおもいます。
結局、いつものダイニングのイスに ちょっと足を伸ばしてあげるという 行儀悪い体勢でした(笑)
控えめに音楽を流しながら・・・いつの間にか夕方 娘が帰ってきたけど・・・最後まで(*^-^*)
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母娘2代。求める母性への執着や葛藤のはなし。
優しい母(おばあちゃん)が大好きで育ったマザコンといえる母親(ひとり娘)と
そのおばあちゃんが大好きだったし、母親にも愛されたかった娘(孫)。
大好きな優しい母(おばあちゃん)が喜ぶようにいい子に育った母親は(ひとり娘)は
その母(おばあちゃん)のように 自分も素敵な母親になりたかった。
母(おばあちゃん)を喜ばせるような娘(孫)を育てたかった。
自分がされたように育てているつもりだった。
いつまでもやさしく褒めてくれる母(おばあちゃん)が大好きだったけれど
大人になった自分ではしてもらえないことを娘(孫)がされることを嬉しくも寂しくおもう母(ひとり娘)。
大好きだった母(おばあちゃん)と娘(孫)を豪雨の日の災害で切羽詰まった中
どちらも助けたかったが まずは母(おばあちゃん)を助けたいとおもった母(ひとり娘)。
「あなたは母親なのだから娘(孫)を助けるようにいい。」泣いて動けない娘をみて自決した母(おばあちゃん)。
母(おばあちゃん)を失って悲しむ自分は 母ののぞんだように娘(孫)に優しくしようとしつつも
自分(母親)からの愛情を当たり前のように受ける娘(孫)の姿に嫉妬する。
いつまでも 娘でいたかった母なんだ・・・。
おばあちゃんがしてくれたように お母さんはしてくれない、わたしは母に嫌われているのかと
母の愛を求める娘(孫)。
母(ひとり娘)のように 母親の顔をみて育つ性格だけど 娘(孫)は母(ひとり娘)が望むような行動はできない。
同じく母親を想って 母親に優しく好かれたくての娘として行動なのに 辛すぎる。
おばあちゃんが生きていて 親子だけの生活におばあちゃんが通ってきてくれていた頃を懐かしがる。
その頃はあの父親だって 違った。
そもそも父親を気に入ったのがおばあちゃん。だから母は(娘は)結婚したのだ。

優しい母(おばあちゃん)が亡くなるということをきっかけに夫の実家に同居となってから
姑などからの冷たい仕打ち それをかばってくれない夫 おもうように育たない娘。
ひたすら 亡くなった母(おばあちゃん)をおもい助けをもとめている母(娘)。
なにもかもかみ合わない。
娘の気持ちも母の気持ちもわかり 涙がでてくるばかりでした。

話しは3つのパートに分かれ語られます。
「母性について」・・・ 高校生が自宅アパートから飛び降り自殺した記事に違和感をおぼえた女性が。
「母の手記・・・」母(ひとり娘)からの 教会の神父にあてた手紙としての 告白。
自分は娘を死なせるように追い詰めたりはしません。娘を愛していたのだと。
どうしてこうなったのかについて 娘が生まれる前 夫との出会いからの話し。
ザコンの母親目線。ひとに悪くおもわれたくない、母に好かれる娘でありたいと育ったゆえの価値観がある。
世間知らずで従順な面がある。
「娘(孫)の回想」・・・自殺を図ったことで 意識が戻らない状態での回想とおもわれる。
死んでしまった大好きなおばあちゃんのかわりに 母を守りたいとおもう娘の痛い気持ちがよくわかる。
母からの手記にはないけれど おばあちゃんを失ったショックや夫の家族からの仕打ちなどのはけ口として
自分に手をあげる母の行動を誰にも気づかせないように我慢する痛々しい姿もある。
痛みを受けた方はどんな理由でも忘れないけれど、それをしたほうは覚えていないのだろう悲しい事実。

実家に戻ってひどい仕打ちを受ける母をかばうこともなく優しく支えてやることもせず(気持ちはあったのでしょう)
目をそむけるかのように浮気をして それを娘にみつかりとがめられ 家族をして逃亡した父。
それも最終的には戻ってくるのですが・・・。
だからこそ みなに詫びをいれて 戻る。
浮気相手との生活であっさり捨てられて、 戻るにしても しっかり詫びをいれる。
確かにそれはそれまでの父親の行動が理解できなかったのに 納得できました。
これは 女性が求めることの納め方だとおもいます。作者も女性だから?
実際は すっきりできない行動する夫がいますけど(~_~;) 

また、子どもが 自分には理解できない行動すると 
それは 夫(妻)方に似た部分とおもってしまうのは みな一緒のようです。
でも はたから見たら いえいえあなたにそっくりですとおもわれたり(笑)


「母性について」のパートを誰が語っていたのかが 最後になってわかります。
「娘の回想」も 自殺を図って意識が戻らない状態での内容とおもわれましたが、
その後日常を取り戻したとわかりホッとしました。
いろんなことがあっても 夫の実家の家族も つながって生きている。
親子の性格は変わらないだろうけれど、 お互いをおもう気持ちはあるんだとわかったのだから
それからは違ってくるだろうとおもいます。

うちの母もこれを読んだのかぁ~と おもいだし、その後の母からの言葉を思い返しています。